アダムスミスの国富論『絶対優位の原理』をまとめたよ
どーも、斎藤です。
アダムスミスという名前、国富論という本のタイトル、もちろん以前にこれらを耳にしたことはあります。しかし彼のすごいと言われる所以、市場原理を説明した理論などは恥ずかしながら全く理解していませんでした。
http://kt-hane2010.blog.so-net.ne.jp/_pages/user/iphone/article?name=2012-04-02
今日の講義で
アダムスミスの唱えた絶対優位の原理というものを学んでなるほど!
と思ったので自分の頭の整理のためにも記事を投稿させていただきます。わかりにくいところは多いかと思いますが、よろしければぜひご覧下さい。
こちらの原理が理解できれば貿易をすることの有益性というものが見えてくるのでとても興味深いです。主に分業と貿易に焦点を置いた原理になっています。
では話をわかりやすくするためにこの世界にはイギリスとフランスの二国しか存在しないと仮定しましょう。実際は世界に何百もの国、数え切れないほどの製品がトレードされているのでもちろんこんなに簡単のものではないです。
二国の生産性は以下です。
〜イギリス〜
1000 resources (資源) ←製品を生み出すための資源が1000ある
10 res/m2 cloth (服などに使う布) ←10の資源あたり1平方メートルあたりの布を生産できる
20 res/ℓ wine (ワイン) ←20の資源あたり1リットルのワインが生産できる
〜フランス〜
1000 resources
25 res/m2 cloth ←25の資源あたり1平方メートルあたりの布を生産できる
12.5 res/ℓ wine ←12.5の資源あたり1リットルのワインが生産できる
では最初に分業体制を取ることなく各国が資源を半分は布に、もう半分はワインのために使用したとします。
[1] 分業なし+貿易なし
イギリスは1000資源あたり50平方メートルの布と25リットルのワインを、
フランスは1000資源あたり20平方メートルの布と40リットルのワインを生産できるということを示してます。また合計を見てみると二国によって、布は70平方メートル、ワインは65リットル生産されたことになります。
計算式
英:布(1000÷2)÷10=50、英:ワイン(1000÷2)÷20=25
仏:布(1000÷2)÷25=20、仏:ワイン(1000÷2)÷12.5=40
[2]分業あり+貿易なし
これはそれぞれの国が自分たちの得意な分野だけに特化した状態です。なのでイギリスなら資源は布を生産するためにのみ使われ、フランスならワインにのみ使用されたということです。
これを見てわかる通り、布とワインの合計が分業なしの状態から増えたことがわかりますね。
つまり効率が上がったということです。ただ自分たちが弱い分野での生産品は手に入ってない状況
計算式
英:布1000÷10=100
仏:ワイン1000÷12.5=80
じゃあ貿易なしでいいの?いやいや。イギリス人だってワイン飲んで酔っぱらいたいし、フランス人だって裸で街中を歩くわけにはいきません。
じゃイギリスさん、フランスさん、貿易をしますかとなるわけです。
[3]分業あり+貿易あり(イギリスが分業なしのときに生産できたのと同じ50の布を
布:ワイン=2:1で貿易するよって場合)
[1]の図と比べてみてください。
•英;分業なし、貿易なしの状態と変わらず
•仏;布、ワインの両方が増加
注意していただきたいのはフランスの生産が上がったわけではなく、イギリスとの貿易で得をしているということです。フランスはワインしか生産していません。
つまり、英の50の布を布:ワイン=2:1という割合で貿易した場合、イギリスは得しないけどフランスが得をするという状態です。 イギリスは困っちゃいますね
*イギリスは50の布を25のワインと交換したという状況。そして80-25=55というようにフランスの取り分は決まります。
[4]分業あり+貿易あり(フランスが分業なしのときに生産できたのと同じ40のワインを布:ワイン=1:2で貿易するよって場合)
再び[1]の図と比べてみてください。
•英;布、ワインの両方が増加
•仏;分業なし、貿易なしの状態と変わらず
*フランスは40のワインを20の布と交換したという状況。そして100-20=80というようにイギリスの取り分は決まります。
おやおや次は先ほどと変わり、フランスは何も得しません。しかしイギリスはこの場合得をしています。
ではどうすればイギリス、フランスの二国が得をするのでしょうか?
[2]の図からイギリス:フランス=100(布):80(ワイン)ということがわかりますね。
これはイギリス:フランス=5:4ということです。
つまり
英布:仏ワイン=1.25:1という比率で貿易すると両国にとって公平であることになります(利益が両国に同程度に出るということではない)。またこの貿易は利益も生むのです。これを表しているのが次の図。
[5]分業あり+貿易あり(適正比率<布:ワイン=1.25:1>による貿易)
ご覧の通り
•英;ワイン増加、布も[1] に比べ減っていない
•仏;布増加、ワインも[1] に比べ減っていない
→絶対的優位な分野で得た生産品をもとに、優位でない分野の生産品を分業なし+貿易なしの時より多く得ている。
つまり両国に損はなく、得をしている状態と言えます。この比率は望ましいですね。
結論から言って比率(価格)が公平に適切に定められている限りにおいて、貿易はよい(利益の出る)ものだと言えます。
しかしながら世界の国々がこのように貿易をするでしょうか?最近フェアトレードという言葉をよく耳にするかと思いますが、実際のところ実現できてない場合の方が多いでしょう。
以下の例を見てください。
[6]分業あり+貿易あり(イギリスが50の布を布:ワイン=4:1で貿易するよって場合)
•英;布変化なし、ワイン半減
•仏;布、ワインともに増加
このケースはフランスが力を持っており、適切でない(適切を公平と定義して)比率で貿易し、利益を独り占めしている状態と言えます。イギリスは50の布に対して12.5のワインしか交換してもらえないのです。
こうなってしまうとイギリスからすれば貿易せず、分業だけしていた方がよっぽどましです。たくさん生産してもフランスに搾取されてしまうのだから。
重要な点は貿易それ自体は良いものなのです。しかし比率(価格)の設定に問題があるとたちまち貿易は不公平な状況を生み出してしまうのです。
以上が絶対優勢の法則です。絶対的に優位な分野において生産を行い、貿易で自分たちが効率よくない分野の生産品を手に入れるというものです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!不足している部分もあったかと思います。ここまで読んでいただけて嬉しいです
David Ricardoがのちに比較優位の法則というものを唱えます。絶対的に優位な分野がなくても比較的優位な分野で生産を行い、貿易することよって、利益は必ず貿易する二国に出るということを説明しています。この原理もまた面白いです。この二つの原理はよく混同されやすいそうですがそれぞれ違うものなので気をつけましょう!
よい一日を。
ではまた〜